墓じまいの費用を5つに分けて整理する|改葬許可と墓石撤去を切り分ける

まず、この記事の要点

墓じまいの支払いは1つではありません。本記事では性質の違う5つの項目に分けて整理します(実際の項目は墓地・寺院・移転先により異なります)。墓地埋葬法が定めているのは改葬の許可で、費用の額を定めた規定はありません。見積の範囲をそろえる手順を条文と自治体の案内から整理します。

根拠と詳しい説明へ

筆者は本記事で扱うサービスの利用経験はありません。当サイトは本記事の広告から報酬を受け取ることがあります。本記事は自治体・省庁の公式情報と公開データを整理したものです。

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墓じまいの支払いは1つではありません。本記事では性質の違う5つの項目に分けて整理します(実際の項目は墓地・寺院・移転先により異なります)。このうち法律が定めているのは改葬の許可(墓地、埋葬等に関する法律第5条第1項)で、費用の額を定めた規定は同法に置かれていません。どこまでを「墓じまい」に数えるかで見積の範囲が変わるので、まず数え方をそろえます。

「墓じまい」のうち法律が手続きを定めているのは遺骨の移動

「墓じまい」は日常語で、墓地、埋葬等に関する法律にこの語は出てきません。この法律が手続きを定めているのは、そのうち遺骨を他の墳墓・納骨堂へ移す部分で、これを改葬といいます。墓石の撤去や墓地の返還は、改葬とは別の話です(→次の節)。

この法律で「改葬」とは、埋葬した死体を他の墳墓に移し、又は埋蔵し、若しくは収蔵した焼骨を、他の墳墓又は納骨堂に移すことをいう。

(同法第2条第3項・出典:e-Gov法令検索・2026-09-10確認)

そして改葬には許可が要ります。

埋葬、火葬又は改葬を行おうとする者は、厚生労働省令で定めるところにより、市町村長(特別区の区長を含む。以下同じ。)の許可を受けなければならない。

(同法第5条第1項・同)

どこの市町村長が許可を出すのかも、条文で決まっています。

前項の許可は、埋葬及び火葬に係るものにあつては死亡若しくは死産の届出を受理し、死亡の報告若しくは死産の通知を受け、又は船舶の船長から死亡若しくは死産に関する航海日誌の謄本の送付を受けた市町村長が、改葬に係るものにあつては死体又は焼骨の現に存する地の市町村長が行なうものとする。

(同法第5条第2項・同)

申請先は「今お骨がある場所」の市町村です。移転先の自治体でも、故人の本籍地でも、申請する人の住所地でもありません。実家の墓が地方にあり、都市部の納骨堂へ移す場合、申請先は実家側の市町村になります。

許可が出ると、改葬許可証が交付されます(同法第8条)。移転先の墓地・納骨堂は、この書類を受理した後でなければ受け入れられません。

墓地の管理者は、第8条の規定による埋葬許可証、改葬許可証又は火葬許可証を受理した後でなければ、埋葬又は焼骨の埋蔵をさせてはならない。 2 納骨堂の管理者は、第8条の規定による火葬許可証又は改葬許可証を受理した後でなければ、焼骨を収蔵してはならない。

(同法第14条第1項・第2項・同)

許可を受けずに改葬した場合の罰則も置かれています。同法第21条第1項は、その第1号として「第三条、第四条、第五条第一項又は第十二条から第十七条までの規定に違反した者」を掲げ、罰金・拘留・科料を定めています(同法第21条第1項第1号・出典:e-Gov法令検索・2026-09-10確認)。同項の柱書は「次の各号のいずれかに該当する者は、二万円以下の罰金又は拘留若しくは科料に処する。」と定めています(2026-09-12にe-Gov法令API(law_data/323AC0000000048)で条文を再取得し、この一文を逐語で確認)。ただし罰則の額は、法改正や罰金額の読み替えによって変わることがあります。額そのものを根拠に判断する場合は、申請する時点の条文を e-Gov 法令検索で確認してください。

条文が定めているのはここまでです。取り出した焼骨を自宅でどう扱うかについては、同法第4条第1項が禁じているのが「墓地以外の区域における埋葬又は焼骨の埋蔵」であり、「保管」についての定めは置かれていません(→ Q3)。改葬の手続きの中でどう扱われるかは自治体の運用によるため、お骨のある市町村の担当課に確認してください。

墓石の撤去と遺骨の移動は別の手続き

「墓じまい」と呼ばれる作業には、根拠の違う2つが混ざっています。ここを分けないと、費用も順序も比べられません。

  • 改葬とは、「埋葬した死体を他の墳墓に移し、又は埋蔵し、若しくは収蔵した焼骨を、他の墳墓又は納骨堂に移すこと」をいいます(法第2条第3項)。そして「改葬を行おうとする者は、(中略)市町村長の許可を受けなければならない」と定められています(法第5条第1項)。移転先の墓地・納骨堂は、改葬許可証を受理した後でなければ埋蔵・収蔵させられません(法第14条第1項・第2項)
  • 墓石を撤去し、墓地を返す部分については、金額も原状回復の範囲も、同法には規定が置かれていません。何をどこまで求められるかは墓地により異なるため、契約書・使用規則を読み、書かれていなければ墓地の管理者に確認してください

この2つは別々に進みます。石材店に墓石の撤去を頼んでも改葬の許可が下りるわけではなく、改葬許可証が出ても墓石の撤去と墓地の返還は別に片づけることになります。見積を読むときは、この2つが混ざっていないかを見てください。

費用が分かれる5つの箱

以上を踏まえて、支払いを分解します。この5つのうち、どれを数えているかでサイトごとの見積の範囲が変わります。

#何の費用か誰に払うか金額の決まり方
①改葬許可申請市町村(お骨のある地)自治体が定める(横浜市は改葬許可証の手数料を無料と案内・2026-09-10確認)
②墓石の解体・撤去・処分石材店等契約(見積)。墓地、埋葬等に関する法律に額の定めはない
③墓地の返還墓地の管理者(寺院・霊園・自治体)墓地、埋葬等に関する法律に額の定めはない。取り扱いは墓地により異なるため契約書・使用規則・墓地の管理者に確認
④移転先の取得新しい墓地・納骨堂・樹木葬等民間の墓地・納骨堂は契約による。公営のものは、地方公共団体が使用料を徴収する場合、その事項を条例で定めることとされている(地方自治法第228条第1項)。墓地、埋葬等に関する法律に額の定めはない
⑤宗教者へのお礼(閉眼供養等)寺院等墓地、埋葬等に関する法律に額の定めはない

本記事は、どこまでを「墓じまい」に含めるかを明示するため、この5つの項目に分けて整理しています(実際の項目は墓地・寺院・移転先により異なります)。同じ「墓じまいの費用」という言葉でも、数えている範囲が違えば総額はそろいません。見積を比べるときは、まずこの5つのうちどこまでを含む見積なのかを確認してください。

当サイトは②〜⑤の金額を示す公的な統計を確認できていないため、この記事では金額を書きません(→「この記事で書かなかったこと」)。

見落とされやすい3つの論点

(1) 永代使用料が戻るかどうかは墓地埋葬法に定めがない

永代使用料が法的に何に対する支払いなのかは、見解の分かれる論点です。当サイトは一次資料で確認できていないため、性質については断定しません。書けるのは条文で言えることまでで、返還について、墓地、埋葬等に関する法律に規定は置かれていません(2026-09-10確認)。返還の有無や条件は墓地ごとに異なるため、契約書・使用規則を先に読み、書かれていなければ墓地の管理者に確認してください。

(2) 離檀料について墓地埋葬法に定めはない

寺院墓地の場合、檀家をやめることに伴う「離檀料」が話題になります。墓地、埋葬等に関する法律に離檀料についての規定は置かれていません(2026-09-10確認)。寺院・宗派により扱いが異なるため、当サイトは金額を扱いません。

金額の提示に納得できない場合、それが契約上の違約金にあたるのであれば、消費者契約法第9条第1項第1号(「同種の消費者契約の解除に伴い当該事業者に生ずべき平均的な損害の額」を超える部分は無効)や、事業者の算定根拠説明の努力義務(同条第2項)の枠組みで考えることになります(出典:e-Gov法令検索・2026-09-10確認)。ただし宗教法人との関係にこの枠組みがそのまま当てはまるかは個別の事情によります。話がこじれた場合は、消費者ホットライン188、または弁護士等の専門家にご相談ください。

(3) 必要書類は自治体・墓地によって違う

当サイトが確認した範囲では、横浜市の案内は流れの1番目に「新たに埋・収蔵する墓地を決める」を置き、申請に必要なものとして挙げられていたのは改葬許可申請書(現在の墓地などの管理者による「埋蔵証明」を含む)等で、案内は「等」と記していました。したがって、ここに挙がっているものが必要書類の全部とは限りません(2026-09-10確認)。名古屋市の案内は、改葬の手順として、①申請者の確認、②改葬許可申請書の入手、③現在遺骨が納められている墓地・納骨堂の管理者の証明(申請書への記名押印、または埋蔵証明書の発行)、④改葬許可申請書の提出、⑤改葬許可証の受理、の5段階を挙げていました。改葬許可証は、遺骨を移す先の墓地・納骨堂の管理者に提出するよう案内されています(同)。

必要書類は自治体・墓地により異なります。移転先の受入証明を求められるかどうかを含め、改葬先と現在の墓地の管理者、およびお骨のある市町村に確認してください。

なお、墓石を先に撤去しても、遺骨を他の墓地・納骨堂へ移すには改葬の許可が別に要ります(法第5条第1項)。逆に改葬許可証を受け取っても、墓石の撤去と墓地の返還は使用規則に沿って別に進めることになります。

手続きの順序(横浜市が案内している流れ)

以下は横浜市が公式ページで案内している流れです(2026-09-10確認)。自治体・墓地によって順序も必要書類も変わります。

  1. 新たに埋・収蔵する墓地を決める
  2. 改葬許可申請書を入手する(申請先は現在の墓地などがある市区町村)
  3. 現在の墓地などの管理者から「埋蔵証明」を受け取る(申請書の所定欄への証明による場合がある)
  4. 改葬許可を申請し、改葬許可証を受け取る(法第5条第2項・第8条/横浜市は手数料を無料と案内)
  5. 改葬許可証を現在の墓地などの管理者に提示して、遺骨を取り出す
  6. 新しい墓地などの管理者に改葬許可証を提出し、埋蔵・収蔵する(法第14条)

墓石の解体・撤去と墓地の返還(②③)は、この流れとは別に、墓地の管理者・石材店との契約として進みます。閉眼供養などの宗教儀礼(⑤)は法律上の手続きではなく、行うかどうかは寺院・墓地との関係で決めることになります。

具体的な必要書類と様式は自治体ごとに違います。お骨のある市町村の公式ページで「改葬許可申請」を確認してください。

この記事で書かなかったこと(一次確認できなかった論点)

出典が確認できなかったものは、数字を書きません。

  • 墓じまい費用の相場(金額)。総額・項目別とも、公的な統計を本記事の調査時点で確認できず、金額は扱いません
  • サイト間で総額が何倍違うか。比較対象・取得日・集計方法をそろえた調査を当サイトは持っていないため、倍率も書きません
  • 自治体別の改葬許可申請手数料の実額。条例で定められている数字なので本来は収集可能ですが、本記事の調査時点では未取得です(横浜市の「無料」は同市の案内で確認できた1件)
  • 全国の改葬件数。当サイトは一次取得できていないため、件数は扱いません
  • 離檀料の相場。墓地、埋葬等に関する法律に額の定めはありません。寺院・宗派により扱いが異なるため、当サイトは金額を扱いません

これらは、いずれも自治体の公式ページ(①)と、契約する石材店・墓地管理者(②③④)に直接確認するのが確実です。

よくある質問(FAQ)

Q1. 墓じまいの許可はどこに申請しますか? お骨が現に存する地の市町村長です(墓地、埋葬等に関する法律第5条第2項・2026-09-10確認)。移転先の自治体でも、申請する人の住所地でもありません。

Q2. 許可を取らずに、お骨を他の墓地・納骨堂へ移したらどうなりますか? ここでいう「移す」は、同法第2条第3項が定義する改葬(埋葬した死体を他の墳墓に移すこと、埋蔵・収蔵した焼骨を他の墳墓・納骨堂に移すこと)の範囲の話です。同法第21条第1項は、その第1号として第3条・第4条・第5条第1項・第12条から第17条までの規定に違反した者を掲げ、罰金・拘留・科料を定めています(2026-09-10確認。同項の柱書は「次の各号のいずれかに該当する者は、二万円以下の罰金又は拘留若しくは科料に処する。」で、2026-09-12にe-Gov法令APIで逐語を再確認しました。額は改正・読み替えにより変わることがあります)。加えて、改葬許可証がなければ移転先の墓地・納骨堂は受け入れられません(同法第14条第1項・第2項)。 なお、取り出した焼骨を自宅で保管する場合は、上記の改葬の定義(他の墳墓・納骨堂へ移すこと)に当たらないため、本記事では扱いません。自分のケースが改葬に当たるかどうかを含め、お骨のある市町村の担当課に確認してください。

Q3. 取り出したお骨を、新しい墓ではなく自宅に置くことはできますか? 同法第4条第1項が禁じているのは「墓地以外の区域における埋葬又は焼骨の埋蔵」であり、条文上「保管」についての定めは置かれていません(2026-09-10確認)。ただし改葬の手続きとしてどう扱われるかは自治体の運用によるため、お骨のある市町村の生活衛生担当課に事前に確認してください。

Q4. なぜサイトによって墓じまいの費用が違うのですか? 差の原因の一つとして、どこまでを「墓じまいの費用」に数えるかという範囲の違いがあります。本文の5つの箱のうち、④移転先の取得を含めているかどうかで見積の範囲は変わります。ただし、同じ範囲をそろえても、契約の内容や墓地の条件・施工の条件によって金額は変わります。当サイトはサイト間の金額差を比較した調査を持っていないため、差の原因を1つに決めつけることはしません。総額を比べる前に、まず含まれる範囲をそろえてください。

Q5. 永代使用料は返ってきますか? 墓地、埋葬等に関する法律に返還についての規定は置かれていません。返還の有無や条件は墓地ごとに異なるため、契約書と使用規則を確認し、書かれていなければ墓地の管理者に確認してください。


※法令・自治体の運用は変わります。本記事の法令条文は2026年9月10日時点でe-Gov法令検索から確認したものです。本記事は一般的な制度の説明であり、個別の案件についての法的助言ではありません。手続きの詳細はお骨のある市町村の公式情報を、費用は契約先の見積を、トラブル時は消費者ホットライン188または専門家にご確認ください。本記事は特定の事業者・寺院を批判することを目的とするものではありません。なお本記事の末尾には広告(アフィリエイト)リンクを掲載しており、リンク経由で見積を依頼された場合に当サイトが広告主から報酬を受け取ることがあります。掲載は当サイトの判断によるもので、条文・自治体の案内の記述はこれに影響されません。

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出典

  • 墓地、埋葬等に関する法律(昭和23年法律第48号)e-Gov法令検索 (2026-09-10 取得) 第2条第3項(改葬の定義)・第4条第1項(墓地以外の区域における埋葬・埋蔵の禁止)・第5条第1項(埋葬・火葬・改葬は市町村長の許可)・第5条第2項(改葬に係るものは死体又は焼骨の現に存する地の市町村長が行う)・第8条(改葬許可証の交付)・第14条第1項・第2項(墓地・納骨堂の管理者は許可証を受理した後でなければ埋蔵・収蔵させてはならない)・第16条第1項(許可証は受理した日から5箇年間保存)・第21条第1項第1号(第3条・第4条・第5条第1項・第12条〜第17条の違反は2万円以下の罰金又は拘留若しくは科料)。2026-09-10にe-Gov法令API(law_data/323AC0000000048)で条文を再取得して確認
  • 改葬(遺骨の移動)の手続き 横浜市 (2026-09-10 取得) 手続きの流れを6段階で案内(1.新たに埋・収蔵する墓地を決める/2.改葬許可申請書を入手/3.現在の墓地などの管理者から埋蔵証明を受け取る/4.改葬許可を申請し改葬許可証を受け取る/5.改葬許可証を提示して遺骨を取り出す/6.新しい墓地などに改葬許可証を提出して埋・収蔵)。手続きに必要なものは改葬許可申請書(埋蔵証明を含む)等。改葬許可証の費用(手数料)は無料と記載
  • 改葬 名古屋市 (2026-09-10 取得) 改葬の手順として、申請者の確認・改葬許可申請書の入手・現在遺骨が納められている墓地・納骨堂の管理者の証明(申請書への記名押印または埋蔵証明書の発行)・申請書の提出・改葬許可証の受理を案内。改葬許可証は遺骨を移す先の墓地・納骨堂の管理者に提出するよう記載
  • 国民生活センター 依然として多い葬儀サービスの料金トラブル(2026年6月3日公表) (2026-08-17 取得) 消費者ホットライン「188(いやや!)」番。相談件数の年度別推移
  • 地方自治法(昭和22年法律第67号)e-Gov法令検索 (2026-09-12 取得) 第225条(普通地方公共団体は、第238条の4第7項の規定による許可を受けてする行政財産の使用又は公の施設の利用につき使用料を徴収することができる)・第228条第1項(分担金、使用料、加入金及び手数料に関する事項については、条例でこれを定めなければならない)。2026-09-12にe-Gov法令API(lawdata/322AC0000000067)で条文を取得して逐語確認
  • 消費者契約法(平成12年法律第61号)e-Gov法令検索 (2026-09-10 取得) 第9条第1項第1号(解除に伴う損害賠償の予定・違約金を定める条項のうち、同種の消費者契約の解除に伴い当該事業者に生ずべき平均的な損害の額を超える部分は無効)・第9条第2項(事業者が算定根拠の概要を説明する努力義務)。2026-09-10にe-Gov法令API(law_data/412AC0000000061)で条文を再取得して確認

最終更新: 2026-09-12