葬儀費用「平均120万円」は本当か|公式料金から積み上げて検算する
まず、この記事の要点
鎌倉新書の第6回調査(2024年)の平均118.5万円を分解します。同社は第7回(2026年)で中央値に切り替え総額96.73万円。統計量が違うので値下がりではありません。公営斎場4施設の例では、条例で決まる施設費は118.5万円の0.8〜10.1%(住民料金。住民以外は6.4〜26.8%・目安)です。
根拠と詳しい説明へ筆者は本記事で扱うサービスの利用経験・利害関係はありません。本記事は自治体・省庁の公式情報と公開データを整理したものです。
世の中で「葬儀費用の平均」として引用されている118.5万円は、鎌倉新書「【第6回】お葬式に関する全国調査(2024年)」の総額平均です(基本料金75.7万円+飲食費20.7万円+返礼品費22.0万円)。これは最新の調査ではありません。同社は2026年5月に「【第7回】お葬式に関する全国調査(2026年)」を公表しており、そちらの総額は96.73万円です。
ただし、118.5万円と96.73万円を並べて「20万円下がった」と読むのは誤りです。第7回で同社は集計統計を平均から中央値に変えています(原典の注記=「※第7回(2026年調査)までの調査結果を、中央値で再集計を実施。」)。96.73万円は中央値であって平均ではありません。同じ中央値どうしで並べると、第6回は94.21万円・第7回は96.73万円で、費用は約2.5万円上がっています(2026-08-25に原典へ再取得して逐語照合)。
この「発表元自身が平均をやめて中央値に切り替えた」という事実こそ、本記事が言いたいことの裏づけです。平均は、自分の予算の目安には向きません。以下では、いちばん引用されている118.5万円(平均)を分解したうえで、条例で金額が決まっている公営斎場の施設費が総額の0.8〜10.1%(住民以外だと6.4〜26.8%)にすぎないことを示します。「平均120万円」は、比べる相手ではなく分解する対象です。
まず、その「120万円」の出所を確認する
葬儀費用の平均として広く引用されている数字のうち、本記事で一次確認できたのは次のものです。
葬儀費用の総額は118.5万円で前回より約8万円増加
(出典:鎌倉新書「【第6回】お葬式に関する全国調査(2024年)」・2026-08-17確認)
調査の条件は次のとおりです。数字を使うときは、この条件ごと引用してください。
| 調査対象 | 2022年3月〜2024年3月に喪主(または喪主に準ずる立場)を経験した、全国の40歳以上の男女 |
| 有効回答数 | 2,000件 |
| 調査期間 | 2024年3月1日〜3月4日 |
| 調査方法 | インターネット調査(調査協力:クロス・マーケティング) |
つまりこれは国の統計ではなく、葬儀情報サイトを運営する上場企業(東証プライム・6184)が2年に1度実施している自主調査です。葬儀費用の総額を継続的に集計した国の統計を当サイトでは確認できなかったため、本サイトでもこの調査を「相場の目安」としてのみ使い、実額の根拠には自治体の公式料金を使います。
第7回(2026年)で、同社は「平均」をやめている
同じ調査の第7回(2026年)は、調査対象・回答数・調査会社を第6回と揃えたうえで、集計統計を平均から中央値に変えました。
| 第6回(2024年) | 第7回(2026年) | |
|---|---|---|
| 集計統計 | 平均 | 中央値 |
| 総額 | 118.5万円(平均) | 96.73万円(中央値) |
| 同じ調査を中央値で再集計した総額 | 94.21万円 | 96.73万円 |
| 調査期間 | 2024年3月1日〜3月4日 | 2026年2月27日〜3月3日 |
| 有効回答数 | 2,000件 | 2,000件 |
| 調査対象 | 2022年3月〜2024年3月に喪主を経験した全国の40歳以上の男女 | 直近2年以内(2024年3月〜2026年3月)に喪主を経験した全国の40歳以上の男女 |
| 調査方法 | インターネット調査(クロス・マーケティング) | インターネット調査(クロス・マーケティング) |
(出典:鎌倉新書「【第6回】お葬式に関する全国調査(2024年)」「【第7回】お葬式に関する全国調査(2026年)」・2026-08-25に原典へ再取得して逐語照合)
第7回の原典には「※第7回(2026年調査)までの調査結果を、中央値で再集計を実施。」という注記があり、総額については「前回の調査(94.21万円)から約2.5万円の増加となっています。」と書かれています。
ここから2つのことが言えます。
- 118.5万円→96.73万円は値下がりではありません。平均と中央値という別の統計量を並べただけです。同一基準(中央値)で見ると94.21万円→96.73万円で、上がっています
- 平均が中央値より20万円以上高く出ていたということでもあります(第6回の同一データで平均118.5万円・中央値94.21万円)。平均は高いほうの支払額に引っ張られる性質があり、発表元自身がその表示をやめました。「平均◯◯万円だからうちも同じくらい」という予算の立て方が成り立たないことの、いちばん強い証拠です
なお本記事の内訳の分解は、以下第6回(平均)で行います。読者が実際に目にする「平均120万円」がこの数字だからです。第7回の中央値についても、公表されている範囲で併記します。
① 118.5万円の内訳:参列人数に比例する部分としない部分に割れている
同じ調査は、総額を3つに分解しています。
| 区分 | 平均 | 中身(調査の定義) |
|---|---|---|
| 基本料金 | 75.7万円 | 斎場利用料、火葬場利用料、祭壇、棺、遺影、搬送費など、葬儀を行うための一式(参列人数には比例しない部分。ただし祭壇や棺のグレード・搬送距離では変わります) |
| 飲食費 | 20.7万円 | 通夜ぶるまい、告別料理などの飲食(参列人数に比例する部分) |
| 返礼品費 | 22.0万円 | 香典に対するお礼の品物(参列人数に比例する部分) |
| 総額 | 118.5万円 | ※0.1万円のズレは小数点第2位以下の和によるもの |
(出典:鎌倉新書・上掲調査・2026-08-17確認)
第7回(2026年)も同じ3区分で内訳を公表しています。ただしこちらは中央値なので、上の平均とは直接比較できません。
| 区分 | 第6回(2024年)平均 | 第7回(2026年)中央値 |
|---|---|---|
| 基本料金 | 75.7万円 | 72.02万円 |
| 飲食費 | 20.7万円 | 11.67万円 |
| 返礼品費 | 22.0万円 | 13.03万円 |
| 総額 | 118.5万円 | 96.73万円 |
(出典:鎌倉新書「【第7回】お葬式に関する全国調査(2026年)」調査結果全文・2026-08-25に原典へ再取得して逐語照合=「葬儀にかかった費用の内訳をみると、「基本料金」が72.02万円、「飲食費」が11.67万円、「返礼品費」が13.03万円となり、総額が96.73万円となりました。」)
ここが最初の分岐点です。飲食費と返礼品費の合計42.7万円は、総額の約36%を占めていて、しかも参列人数に比例します。調査の注記にも「飲食費、返礼品費はひとり当たりかかる費用のため、参列人数に比例して変動します」とあります(第7回の中央値でも、飲食費と返礼品費の合計24.70万円が総額の約25.5%を占めます。平均と中央値の違いがあるため、36%と25.5%を「減った」と読むことはできません)。
つまり「葬儀費用を下げる」と言ったとき、総額の約36%は参列人数で動く部分だということになります(残りの基本料金も、プラン・施設・祭壇や棺のグレード・搬送距離で変わります)。そして参列人数の想定は、次に見るとおり形式の選び方と連動しています。
② 形式を変えると総額はこう動く
同じ調査の形式別の数字です。「最も回答が多い価格帯」が平均とズレていることに注目してください。
| 形式 | 総額(平均) | 最も回答が多い価格帯 | 実施割合 |
|---|---|---|---|
| 一般葬 | 161.3万円 | 120万円以上〜140万円未満 | 30.1% |
| 家族葬 | 105.7万円 | 60万円以上〜80万円未満 | 50.0% |
| 一日葬 | 87.5万円 | 20万円以上〜40万円未満 | 10.2% |
| 直葬・火葬式 | 42.8万円 | 20万円以上〜40万円未満 | 9.6% |
(出典:鎌倉新書・上掲調査・2026-08-17確認。形式の定義は同調査による。一般葬=通夜・葬儀・告別式があり参列者が知人・地域・職場など幅広い/家族葬=通夜・葬儀・告別式があり参列者は親族や近親者/一日葬=通夜がなく告別式のみ/直葬・火葬式=宗教儀式のない火葬のみのお別れ)
第7回(2026年)の形式別は次のとおりです。中央値である点と、「最も回答が多い価格帯」は第7回では公表がない点にご注意ください(この列だけは第6回時点の値です)。
| 形式 | 第6回 総額(平均) | 第7回 総額(中央値) | 第7回の前回比 | 実施割合(第6回→第7回) |
|---|---|---|---|---|
| 一般葬 | 161.3万円 | 122.01万円 | +0.63万円 | 30.1% → 30.2% |
| 家族葬 | 105.7万円 | 96.39万円 | +6.49万円 | 50.0% → 47.0% |
| 一日葬 | 87.5万円 | 74.43万円 | +1.99万円 | 10.2% → 11.9% |
| 直葬・火葬式 | 42.8万円 | 49.56万円 | +1.71万円 | 9.6% → 10.8% |
(出典:鎌倉新書「【第7回】お葬式に関する全国調査(2026年)」・2026-08-25に原典へ再取得して逐語照合。「前回比」は第7回が明記している増減で、第6回を中央値で再集計した値との差です。したがって左隣の「第6回 総額(平均)」との差ではありません)
4形式すべてで前回比はプラスです。第6回の平均欄と第7回の中央値欄を横に見比べると一般葬・家族葬・一日葬は数字が小さくなっていますが、これは統計量が平均から中央値に変わったためで、値下がりではありません。
直葬・火葬式だけは逆に、中央値(第7回49.56万円)のほうが第6回の平均42.8万円より大きく出ています。第7回の前回比から逆算すると第6回を中央値で再集計した直葬・火葬式は47.85万円で、同じ第6回のデータで平均42.8万円・中央値47.85万円、つまり平均のほうが中央値より低いという関係だったことになります。他の3形式とは逆向きで、この形式には平均を押し下げるほど支払額の低い層がいたことがうかがえますが、分布の形そのものは公表値からは判定できません。直葬を「安いほう」と決めて選ぶ前に、直葬・火葬式の実額——公営火葬場を使うと総額いくらか で実額の積み上げを確認してください。
読み取れることが2つあります。
- いちばん多く行われているのは家族葬(50.0%)で、その平均は105.7万円。「平均120万円」は全形式をならした数字で、いちばん実施割合の高い家族葬の平均はそれより1割ほど低い水準です(105.7万円÷118.5万円=約0.89)。ただしこれは形式ごとの平均どうしの比較であって、個々の支払額の分布を示すものではありません
- 家族葬は平均105.7万円なのに、最も回答が多い価格帯は60万〜80万円未満。平均が最も回答の多い価格帯より高く出ているという関係だけが、ここから読めることです(分布の形そのものは、この調査の公表値からは判定できません)。「平均105.7万円だからうちも100万円くらい」ではなく、「60万〜80万円で収まっている人が最も多いが、上に外れる人がいる」と読むのが正確です
家族葬の内訳をさらに分解したものは 家族葬の相場「40万〜130万円」のバラつきを検算する にまとめています。
③ 検算:条例で決まっている部分は総額の何%か
ここからが本サイトの検算です。118.5万円のうち、自治体の条例で金額が決まっている部分(葬儀社が値付けできない部分)はいくらでしょうか。公営斎場を使った場合の施設費を積みます(自社DB/各自治体の公式ページから取得・2026-08-16確認)。積んだ費目は都市ごとに揃っていません——名古屋市は式場使用料を自社DBで確認できなかったため火葬料と有料休憩室のみ、大阪市は大式場の昼間1回分と火葬料、横浜市は葬祭ホール・火葬料・休憩室、臨海斎場は葬儀式場・火葬料・火葬待合室です。この不揃いは下表の「施設費 計」に現れています。
まずその自治体の住民が使った場合です。
| 都市 | 式場 | 火葬料 | 待合・休憩室 | 施設費 計 | 118.5万円(第6回・平均)に占める割合 | 96.73万円(第7回・中央値)に占める割合 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 名古屋市 | (市立斎場の式場使用料を自社DBで確認できず・計上せず) | 5,000円 | 4,000円 | 9,000円 | 約0.8% | 約0.9% |
| 大阪市(北斎場・大式場昼間1回) | 40,000円 | 10,000円 | — | 50,000円 | 約4.2% | 約5.2% |
| 横浜市(戸塚斎場) | 50,000円 | 12,000円 | 5,000円 | 67,000円 | 約5.7% | 約6.9% |
| 東京23区の5区(臨海斎場・組織区住民) | 56,000円 | 44,000円 | 20,000円 | 120,000円 | 約10.1% | 約12.4% |
※割合は「施設費 計 ÷ 1,185,000」および「施設費 計 ÷ 967,300」を計算した値です。分母の118.5万円は第6回の平均、96.73万円は第7回の中央値で、統計量が異なります(どちらで割っても「条例で決まる部分は総額の1割前後」という桁感は変わりません)。上表はすべて市民・組織区民の料金で、名古屋市・大阪市・横浜市は「市民」、臨海斎場は構成5区(港・品川・目黒・大田・世田谷)の区民を指します。大阪市の式場使用料は昼間1回の額で、夜間1回は別料金です。臨海斎場の葬儀施設は式場のほかに遺族等控室・会葬者控室があり、同斎場の使用料ページには組織区住民で葬儀式場56,000円・遺族等控室14,000円・会葬者控室30,000円、その「合計」を100,000円と記載しています(組織区外住民は170,000円・42,000円・90,000円で合計302,000円。出典:臨海斎場「使用料」・2026-08-24に原典へ再取得して逐語照合)。上表は式場のみを計上しています。
ここは「誰が頼んでも同じ」ではありません。同じ施設でも、その自治体の住民でなければ料金が上がります。同じ組み合わせを市外・組織区外の料金で積み直すと、こうなります。
| 都市 | 施設費 計(市民・組織区民) | 施設費 計(市外・組織区外) | 118.5万円に占める割合(市外) | 96.73万円に占める割合(市外) |
|---|---|---|---|---|
| 名古屋市(火葬料+第二斎場の有料休憩室) | 9,000円 | 70,000円+6,000円=76,000円 | 約6.4% | 約7.9% |
| 大阪市(北斎場・大式場昼間1回+火葬料) | 50,000円 | 40,000円+60,000円=100,000円 | 約8.4% | 約10.3% |
| 横浜市(戸塚斎場+火葬料+休憩室) | 67,000円 | 75,000円+50,000円+7,500円=132,500円 | 約11.2% | 約13.7% |
| 東京23区の5区(臨海斎場) | 120,000円 | 170,000円+88,000円+60,000円=318,000円 | 約26.8% | 約32.9% |
(自社DB/各自治体の公式ページから取得・2026-08-16確認。割合は「施設費 計 ÷ 1,185,000」および「施設費 計 ÷ 967,300」)
結論:本記事が積み上げた4施設の例では、施設費は118.5万円(第6回・平均)に対して住民料金で0.8%〜10.1%、住民以外だと6.4%〜26.8%にあたります(第7回の中央値96.73万円を分母にすると0.9%〜12.4%/7.9%〜32.9%で、結論は変わりません)。分子は名古屋市・大阪市・横浜市・臨海斎場の公式料金、分母は別の民間調査の全国平均なので、同じ標本の内訳ではありません(この割合は「条例で決まる部分の桁感」を示すための目安です)。それでも言えるのは、総額の大部分は民間が値付けする部分——祭壇・棺・遺影・搬送・人件費・飲食・返礼品——だということで、ここは会社ごとに違い、比較の対象になります。
だから見積書を見るときの最初の一手は、値引き交渉ではありません。「この見積のうち、斎場と火葬場に払う分はいくらですか」と分けてもらうことです。分けてもらえれば、残りが比較可能な部分だとわかります。そのうえで、その施設の住民区分(市民・組織区住民)の要件に当たるかを斎場の料金表で確かめてください。判定の基準は施設ごとに異なります(名古屋市は「「死体火(埋)葬許可証」に記載された死亡者の住所地で、名古屋市民であるかどうかを確認いたします」、札幌市は「市内」の定義として「死亡者の死亡時の住所(死胎については、出産した者の住所)が本市にある場合」。いずれも2026-08-25に原典へ再取得して逐語照合。出典は文末の一覧)。当たらない場合、上表のとおり施設費は数万円から十数万円上がります。名古屋市の火葬料・休憩室と葬祭費を公的な額だけで積み上げた検算は 名古屋市の葬儀費用の検算 にあります。
④ 「一式」と書かれた見積書が実際にトラブルになっている
内訳を分けてもらう、という話には実害の裏づけがあります。
独立行政法人 国民生活センターがまとめた葬儀サービスの相談件数は、2019年度632件、2022年度951件、2023年度886件、2024年度978件、2025年度917件と推移しており、同センターは「増加傾向で推移しており、年間で900件前後となっています」としています(年度別の件数は同ページのグラフの説明文に記載・2026-08-24に原典へ再取得して逐語照合)。そのうち「高価格・料金」に関する相談の割合は2019年度33.2%から2025年度52.6%へと上がりました(出典:国民生活センター「依然として多い葬儀サービスの料金トラブル」2026年6月3日公表・2026-08-17確認)。
同じ発表の相談事例には次のものがあります。
- 「家族葬50万円」との表示を見て葬儀社に依頼したところ、十数種類のプラン表を提示され、案内されたプランは140万円だった。見積書にはプラン名と一式としか記載がなく、明細が書かれていなかった。会食やその他の追加費用が発生し、総額で200万円を超えた(2025年11月受付・60歳代女性)
- 一日葬は約30万円とのチラシを見て依頼したところ、約80万円の見積もりを出された。請求書の明細にはマイクの使用料や花の搬入搬出代、仏具の搬入搬出代、仏衣を着せるための費用等が含まれていた(2025年5月受付・60歳代男性)
(出典:国民生活センター・上掲報告書本文・2026-08-17確認)
国民生活センターの消費者へのアドバイスの3つ目は「見積書は必ず受領し、内容(明細)をよく確認しましょう」で、「特に、契約に含まれている項目は何か、含まれていない項目は別料金なのか、追加サービスの内容や料金も含め、よく確認しましょう」と続きます(同上)。
⑤ 総額から引ける給付:葬祭費
最後に、総額から引ける可能性のある数字があります。葬祭費です。故人が国民健康保険または後期高齢者医療制度に入っていた場合に、葬祭を行った人が申請して受け取れます。下表はこの2制度を並べたもので、故人が入っていたのはどちらか一方です(75歳以上なら原則として後期高齢者医療・→ 後期高齢者医療の葬祭費——75歳以上の親を送ったときの実額)。故人が勤務先の健康保険(協会けんぽ・健康保険組合・共済組合など)に入っていた場合は、この2制度のどちらでもなく、埋葬料・埋葬費という別の給付になります(→ 健康保険の埋葬料と退職後の扱い)。
| 都市 | 国民健康保険 | 後期高齢者医療 |
|---|---|---|
| 東京23区(新宿区の例) | 70,000円 | 70,000円 |
| 横浜市 | 50,000円 | 50,000円 |
| 大阪市 | 50,000円 | 50,000円 |
| 名古屋市 | 50,000円 | 50,000円 |
| 札幌市 | 30,000円 | 30,000円 |
| 福岡市 | 30,000円 | 30,000円 |
(自社DB/各自治体・広域連合の公式ページから取得。上の12件はいずれも2026-08-25に原典へ再取得して金額の記載を逐語照合しており、出典URLと確認した原文は文末の出典一覧に1件ずつ載せています。→ 葬祭費の6都市一覧・葬祭費の申請手順と期限)
どちらも申請制で、申請しなければ1円も入りません。平均118.5万円という数字の前で消耗するより先に、30,000〜70,000円の申請を取りこぼさないほうが先です。なお、申請すれば必ず支給されるわけではなく、支給されない場合もあります(→ 葬祭費が出ないケース——他保険優先・第三者行為・葬祭なしの扱い)。
検算のまとめ:「平均120万円」の正しい使い方
- よく引用される平均118.5万円は第6回(2024年)の値(内訳=基本料金75.7万+飲食20.7万+返礼品22.0万)。国の統計ではなく民間の自主調査。最新は第7回(2026年)で総額96.73万円だが、こちらは中央値。統計量が違うので「下がった」ではなく、同じ中央値どうしなら94.21万円→96.73万円で上がっている
- 総額の約36%は参列人数に比例する部分。参列人数の想定は形式の選び方と連動する
- 本記事が積んだ4施設の例では、条例で決まる施設費は118.5万円に対して0.8〜10.1%(住民料金の場合。市外・組織区外だと6.4〜26.8%。分母を第7回の96.73万円にしても0.9〜12.4%/7.9〜32.9%)。分子と分母は別の標本なので桁感の目安。残りは比較・検討の対象
- 最も多い家族葬でも、最頻価格帯は60万〜80万円未満(第6回時点。第7回はこの区分を公表していない)。発表元自身が第7回で平均をやめ中央値に切り替えた——同じ第6回のデータで平均118.5万円・中央値94.21万円と20万円以上開いていた。「平均」を自分の予算にしない
- 葬祭費30,000〜70,000円は申請しなければ1円も出ない(申請しても支給されないケースはある → 葬祭費が出ないケース——他保険優先・第三者行為・葬祭なしの扱い)
よくある質問(FAQ)
Q1. 葬儀費用の公的な統計はないのですか? 本記事の調査時点で、葬儀費用の総額を継続的に集計した国の統計は確認できませんでした。そのため相場は民間の自主調査を、実額は自治体の公式料金(条例)を使い分けています。数字の性質が違うので、両者を混ぜて「相場より高い/安い」とは判定できません。
Q2. 「平均120万円」より安く抑えることはできますか? 形式によって金額は大きく変わります(第6回の平均=一般葬161.3万円/家族葬105.7万円/一日葬87.5万円/直葬42.8万円。第7回の中央値=一般葬122.01万円/家族葬96.39万円/一日葬74.43万円/直葬・火葬式49.56万円)。ただし第7回は4形式すべてで前回比プラスであり、形式を変えずに「年々安くなっている」と期待できる状況ではありません。ただし直葬を実施した人で「後悔していることはない」と答えたのは38.7%にとどまり、「通夜をしなかったこと」「火葬場でのお別れの時間が短かったこと」という後悔が挙げられています(同調査)。金額だけで選ぶ話ではありません(→ 直葬・火葬式の実額——公営火葬場を使うと総額いくらか)。
Q3. 見積書のどこを見ればいいですか? 最初に「斎場・火葬場に払う分」と「葬儀社に払う分」を分けてもらってください。前者のうち公営施設の使用料は条例・規則で定められているので、同じ施設の同じ区分・同じ部屋・同じ利用条件なら、施設に支払う額そのものは葬儀社によって変わりません(葬儀社が代行手数料等を別に載せることはあります)。ただし公営施設でも部屋の種類や利用時間によって額は変わり、民営の斎場・火葬場は条例ではなく事業者が定めた料金です。ただし施設が変われば額は変わり、その自治体の住民でなければ上がります(③の2つ目の表)。葬儀社ごとに差が出るのは後者です。国民生活センターも「契約に含まれている項目は何か、含まれていない項目は別料金なのか」を確認するよう助言しています(2026-08-17確認)。
Q4. 香典で費用は相殺できますか? 本記事で一次確認できた調査からは、香典収入の平均額を確認できませんでした。確認できていない数字なので、本サイトでは金額を示しません。ただし返礼品費(第6回の平均22.0万円・第7回の中央値13.03万円)は香典に対するお礼の品物であり、香典が増えれば返礼品費も増える関係にあることは調査の定義から読み取れます。
Q5. 事前に見積もりを取っておくと安くなりますか? 金額が下がると断言できる公的データは確認できませんでした。ただし国民生活センターは「もしもの時に慌てることのないよう、前もって葬儀について幅広く情報収集を行い葬儀社へ事前相談しておきましょう」「事前に複数の葬儀社を比較し、内容等をよく確認することが重要です」と助言しています(上掲報告書本文・2026-08-17確認)。公的に推奨されているのは「事前の情報収集・事前相談・複数社の比較」であって、「事前見積もりで安くなる」ではありません。この言い方までが原文で担保できる範囲です(→ 親が生きているのに葬式を調べるのは不謹慎か)。
※調査データ・料金・給付額は改定されます。本記事の民間調査データは第6回・第7回とも2026年8月25日、火葬料・施設使用料は2026年8月16日、葬祭費は2026年8月25日時点で各公式ページから確認したものです。利用時は最新の公式情報でご確認ください。本記事は特定の葬儀社・斎場の推奨や批判を目的とするものではありません。
関連記事
出典
- 鎌倉新書 【第6回】お葬式に関する全国調査(2024年) (2026-08-17 取得) 第6回が公表した値はいずれも平均(同ページの表見出しが『葬儀費用の総額(平均)』)。総額118.5万円=基本料金75.7万円+飲食費20.7万円+返礼品費22.0万円。形式別=一般葬161.3万円/家族葬105.7万円/一日葬87.5万円/直葬42.8万円。実施割合=家族葬50.0%/一般葬30.1%/一日葬10.2%/直葬9.6%。直葬・火葬式の実施者で『後悔していることはない』は38.7%(家族葬・一般葬・一日葬は過半数)。有効回答2,000件。2026-08-25の再取得で次の2文も逐語照合した=『飲食費:通夜ぶるまい、告別料理などの飲食(変動費*)』『*飲食費、返礼品費はひとり当たりかかる費用のため、参列人数に比例して変動します』/『直葬・火葬式を実施した方に具体的にどのような点で後悔をしているのかを伺うと、「通夜をしなかったこと」や「火葬場でのお別れの時間が短かったこと」などの回答があり、お別れの時間の短さについての後悔がみられました』(2026-08-24に118.5/161.3/105.7/87.5/42.8万円と38.7%を逐語照合済み)
- 鎌倉新書 【第7回】お葬式に関する全国調査(2026年) (2026-08-25 取得) 本記事が分解している第6回より新しい調査。2026-08-25に原典へ再取得して逐語照合=『②葬儀費用の総額は96.73万円。前回調査より約2.5万円増加』『一般葬が122.01万円(前回比+0.63万円)、家族葬が96.39万円(同+6.49万円)、直葬・火葬式が49.56万円(同+1.71万円)、一日葬が74.43万円(同+1.99万円)となりました。』『調査期間:2026年2月27日(金)~ 2026年3月3日(火)』『有効回答数:2,000件』『① 有効回答数の約半数(47.0%)が家族葬を実施』。実施割合は家族葬47.0%/一般葬30.2%/一日葬11.9%/直葬・火葬式10.8%。★第7回は集計統計が平均から中央値に変わっているため、第6回の平均118.5万円と直接は比較できない(下の e-sogi.com の全文を参照)
- 鎌倉新書/いい葬儀 【第7回】お葬式に関する全国調査(2026年)調査結果全文 (2026-08-25 取得) 第7回プレスリリースの「調査結果を読む」先。本記事が第7回を『平均』と書かない根拠。2026-08-25に原典へ再取得して逐語照合=『※第7回(2026年調査)までの調査結果を、中央値で再集計を実施。』『葬儀にかかった費用の内訳をみると、「基本料金」が72.02万円、「飲食費」が11.67万円、「返礼品費」が13.03万円となり、総額が96.73万円となりました。』『前回の調査(94.21万円)から約2.5万円の増加となっています。』。つまり第7回の96.73万円は中央値であり、第6回が公表した平均118.5万円とは統計量が異なる。第6回を中央値で再集計した総額は94.21万円で、同一基準では94.21→96.73万円と増加している
- 国民生活センター 依然として多い葬儀サービスの料金トラブル(2026年6月3日公表) (2026-08-17 取得) PIO-NET相談件数(同ページのグラフ説明文)=2019年度632件・2022年度951件・2023年度886件・2024年度978件・2025年度917件。同センターは「増加傾向で推移しており、年間で900件前後となっています」と記述。「高価格・料金」の割合=2019年度33.2%→2025年度52.6%(2026-08-24に原典へ再取得し、951/886/978/917件と52.6%、および「増加傾向で推移しており、年間で900件前後」を逐語照合済み)
- 国民生活センター 依然として多い葬儀サービスの料金トラブル 報告書本文[PDF] (2026-08-17 取得) 事例3『見積書にはプラン名と一式としか記載がなく、明細が書かれていなかった』の原文。消費者へのアドバイス(1)『事前に複数の葬儀社を比較し、内容等をよく確認することが重要です』『前もって葬儀について幅広く情報収集を行い葬儀社へ事前相談しておきましょう』・(3)『見積書は必ず受領し、内容(明細)をよく確認しましょう』『特に、契約に含まれている項目は何か、含まれていない項目は別料金なのか、追加サービスの内容や料金も含め、よく確認しましょう』(2026-08-24に原典PDFへ再取得し、本文で引用している4文すべてを逐語照合済み)
- 横浜市 市営斎場のご案内 (2026-08-16 取得) 市営4斎場の火葬料金・葬祭ホール使用料・休憩室使用料(自社DBの原典)
- 大阪市 市立斎場のご案内 (2026-08-16 取得) 市立5斎場の火葬料金・式場使用料(自社DBの原典)
- 名古屋市 市立斎場の使用料金 (2026-08-16 取得) 火葬料金・有料休憩室(自社DBの原典)。判定基準の原文=『「死体火(埋)葬許可証」に記載された死亡者の住所地で、名古屋市民であるかどうかを確認いたします。』(2026-08-25に原典へ再取得して逐語照合)
- 臨海斎場 使用料金 (2026-08-16 取得) 火葬料・葬儀式場・火葬待合室(自社DBの原典)
- 札幌市 斎場利用のご案内 (2026-08-25 取得) 本文③の住民区分の判定基準の原典。備考の原文=『1.市内とは、次に掲げる場合をいう。』『死亡者の死亡時の住所(死胎については、出産した者の住所)が本市にある場合』『2.市外とは、備考1の場合以外の場合をいう。』(2026-08-25に data/原本/ページ控え/sapporo_saijou.html の保存原典で逐語照合)
- 新宿区 葬祭費(0歳〜74歳) (2026-08-25 取得) 本文③の表『東京23区(新宿区の例)/国民健康保険』70,000円の原典。2026-08-25に原典へ再取得して逐語照合=『国保に加入している被保険者( 0 ~ 74 歳の方)が死亡したとき、葬祭を行った方に対し、7万円が支給されます。』
- 新宿区 葬祭費の支給(後期高齢者医療制度) (2026-08-25 取得) 本文③の表『東京23区(新宿区の例)/後期高齢者医療』70,000円の原典。2026-08-25に原典へ再取得して逐語照合=『後期高齢者医療制度に加入している方が亡くなった際、葬祭を行った方に7万円(後期高齢者医療葬祭費5万円・新宿区加算葬祭費2万円)を支給します。』。区加算の有無・額は区により異なる
- 横浜市 葬祭費の支給 (2026-08-25 取得) 本文③の表『横浜市/国民健康保険』50,000円の原典。2026-08-25に原典へ再取得して逐語照合=『支給額・・・・・・5万円』
- 横浜市 後期高齢者医療制度の葬祭費(FAQ) (2026-08-25 取得) 本文③の表『横浜市/後期高齢者医療』50,000円の原典。2026-08-25に原典へ再取得して逐語照合=『神奈川県後期高齢者医療被保険者だった方の葬儀を行った方(喪主)に葬祭費として5万円が支給されます。』
- 大阪市 葬祭費の支給 (2026-08-25 取得) 本文③の表『大阪市/国民健康保険』50,000円の原典。2026-08-25に原典へ再取得して逐語照合=『大阪市国民健康保険の被保険者が亡くなられたときは、葬祭を行った方に50,000円を支給します。』
- 大阪市 後期高齢者医療の葬祭費 (2026-08-25 取得) 本文③の表『大阪市/後期高齢者医療』50,000円の原典。2026-08-25に原典へ再取得して逐語照合=『支給対象者:被保険者の葬祭を行った方 支給金額:5万円』
- 名古屋市 国民健康保険における葬祭費の支給申請 (2026-08-25 取得) 本文③の表『名古屋市/国民健康保険』50,000円の原典。2026-08-25に原典へ再取得して逐語照合=『国民健康保険の加入者が死亡されたときは、世帯主または葬祭執行者に対し、葬祭費として50,000円が支給されます。』
- 愛知県後期高齢者医療広域連合 葬祭費 (2026-08-25 取得) 本文③の表『名古屋市/後期高齢者医療』50,000円の原典。2026-08-25に原典へ再取得して逐語照合=『被保険者がお亡くなりになったときは、葬祭を行った方に葬祭費として5万円を支給します。』(愛知県内の市区町村共通の広域連合の額)
- 札幌市 死亡したとき(葬祭費) (2026-08-25 取得) 本文③の表『札幌市/国民健康保険』30,000円の原典。2026-08-25に原典へ再取得して逐語照合=『加入者が死亡したとき、葬祭を行った方に葬祭費が支給されます。 支給額 30,000円』『※葬祭を行った日の翌日から起算して2年を過ぎると時効となります。』
- 札幌市 後期高齢者医療葬祭費申請 (2026-08-25 取得) 本文③の表『札幌市/後期高齢者医療』30,000円の原典。2026-08-25に原典へ再取得して逐語照合=『被保険者が死亡したとき、葬祭を行った方に葬祭費が支給されます。支給額は30,000円です。』(保険者は北海道後期高齢者医療広域連合・申請は札幌市の窓口)
- 福岡市 死亡したとき(国民健康保険) (2026-08-25 取得) 本文③の表『福岡市/国民健康保険』30,000円の原典。2026-08-25に原典へ再取得して逐語照合=『国保加入者が亡くなったとき、葬儀を行った人に対して葬祭費が支給されます。』『支給額 30,000円』
- 福岡県後期高齢者医療広域連合 給付の内容 (2026-08-25 取得) 本文の葬祭費表『福岡市/後期高齢者医療』30,000円の原典。2026-08-25に原典へ再取得して逐語照合=『被保険者がお亡くなりになったときは、葬祭を行った方(主に喪主、葬儀をしない場合は火葬を行った方等)に3万円が支給されます。』
最終更新: 2026-10-12