葬祭費はいくらもらえるか|6都市の実額一覧と、額が自治体で違う理由
筆者は本記事で扱うサービスの利用経験・利害関係はありません。本記事は自治体・省庁の公式情報と公開データを整理したものです。
葬祭費はいくらもらえるか:6都市の実額一覧
葬祭費は全国一律ではありません。当サイトが公式ページで確認した6都市では、東京23区(新宿区の例)が70,000円、横浜市・大阪市・名古屋市が50,000円、札幌市・福岡市が30,000円で、同じ制度なのに2倍以上の差があります。理由は、金額を決めているのが国ではなく、自治体(および後期高齢者医療広域連合)の条例だからです。
① まず結論:6都市の実額
金額は故人が入っていた保険の種類で変わります。親が75歳以上なら多くの場合「後期高齢者医療制度」、それ未満で自営業・退職後なら「国民健康保険」です。
| 都市 | 国民健康保険 | 後期高齢者医療 |
|---|---|---|
| 東京23区(新宿区の例) | 70,000円 | 70,000円 |
| 横浜市 | 50,000円 | 50,000円 |
| 大阪市 | 50,000円 | 50,000円 |
| 名古屋市 | 50,000円 | 50,000円 |
| 札幌市 | 30,000円 | 30,000円 |
| 福岡市 | 30,000円 | 30,000円 |
(自社DB/各自治体・広域連合の公式ページから取得・2026-08-16確認。出典URLは記事末尾の一覧)
この6都市に限っても、最も高い東京23区と最も低い札幌市・福岡市で4万円の差があります。「葬祭費は5万円」という書き方をしている記事は、たまたま多数派の金額を書いているだけで、あなたの自治体の金額ではありません。
② なぜ自治体で違うのか——条文にそう書いてあるから
金額のバラつきは運用のブレではなく、法律がそう設計している結果です。国民健康保険の葬祭費の根拠条文はこうなっています。
市町村及び組合は、被保険者の出産及び死亡に関しては、条例又は規約の定めるところにより、出産育児一時金の支給又は葬祭費の支給若しくは葬祭の給付を行うものとする。ただし、特別の理由があるときは、その全部又は一部を行わないことができる。
(国民健康保険法第58条第1項・出典:e-Gov法令検索・2026-08-17確認)
金額を国が定めるとは書かれておらず、「条例又は規約の定めるところにより」とだけ書かれています。だから市区町村ごとに違います。
後期高齢者医療も同じ構造ですが、条例を作る主体が違います。
後期高齢者医療広域連合は、被保険者の死亡に関しては、条例の定めるところにより、葬祭費の支給又は葬祭の給付を行うものとする。
(高齢者の医療の確保に関する法律第86条第1項・出典:e-Gov法令検索・2026-08-17確認)
後期高齢者医療広域連合は都道府県単位の組織です。つまり後期高齢者医療の葬祭費は、市区町村ではなく都道府県ごとに決まるのが原則です。同じ神奈川県内なら横浜市でも川崎市でも同額になる、ということです(詳しくは 後期高齢者医療の葬祭費——75歳以上の親を送ったときの実額)。
ここから、実務上こう言えます。
- 国民健康保険の額を調べるときは「市区町村名 + 葬祭費」で公式ページを見る
- 後期高齢者医療の額を調べるときは「都道府県名 + 後期高齢者医療広域連合 + 葬祭費」で見る
③ 東京23区の「7万円」の読み方(そのまま他区に当てはめない)
上の表の東京23区は新宿区の例です。23区は区ごとに設定が異なるため、他区にそのまま当てはめられません。
とくに後期高齢者医療の70,000円は、内訳が公表されています。
後期高齢者医療制度に加入している方が亡くなった際、葬祭を行った方に7万円(後期高齢者医療葬祭費5万円・新宿区加算葬祭費2万円)を支給します。
(新宿区「葬祭費の支給(後期高齢者医療制度)」・出典:同区公式ページ・2026-08-16確認)
つまり広域連合の給付は5万円で、残りの2万円は新宿区が独自に上乗せしている分です。この区加算の有無と額は区によって違います。「東京23区は7万円」と覚えるのではなく、故人が住んでいた区のページで確認するのが正解です。
④ 誰がもらえるか:「葬祭を行った人」であって「相続人」ではない
支給の相手は、条文でも各自治体のページでも「葬祭を行った方」です。相続人であるかどうか、故人と同居していたかどうかは、直接の要件ではありません。
- 大阪市:「葬祭費の支給申請ができるのは、葬祭を行った方です」(2026-08-16確認)
- 名古屋市:「世帯主または葬祭執行者に対し、葬祭費として50,000円が支給されます」(2026-08-16確認)
- 福岡県後期高齢者医療広域連合:「葬祭を行った方(主に喪主、葬儀をしない場合は火葬を行った方等)に3万円が支給されます」(2026-08-16確認)
実務上は、葬儀社の領収書の宛名になっている人(=喪主)が申請するのが基本です。だから領収書は原本のまま保管してください。窓口で「葬祭を行った人」であることの確認に使われます。
⑤ 自動では振り込まれない。期限は2年
葬祭費は申請制です。役所が死亡届を受け取っても、葬祭費が自動的に振り込まれることはありません。そして**おおむね「葬祭を行った日の翌日から2年」**で時効になります(当サイトが確認した公式ページの多くはこの表現。ただし横浜市だけは「葬祭を行ってから2年」と表記しており、起算日の書き方は自治体により揃っていません・2026-08-16確認 → 葬祭費の申請期限は2年——時効で消える給付金の申請手順)。
裏を返せば、葬儀直後に慌てて役所へ行く必要はありません。四十九日が済んで落ち着いてからでも十分に間に合います。申請先・必要書類・時効の起算日は 葬祭費の申請期限は2年——時効で消える給付金の申請手順 にまとめました。
⑥ 会社員だった親の場合は、この表の金額ではない
上の表は国民健康保険と後期高齢者医療の話です。親が会社員のまま亡くなった場合や、退職からまだ日が浅い場合は、市区町村の葬祭費ではなく健康保険(協会けんぽ・健康保険組合)の埋葬料になります。金額は協会けんぽで5万円です。→ 会社員だった親が亡くなったら——健康保険の埋葬料5万円と退職後3か月ルール
また、条件によってはどちらからも出ない・片方しか出ないことがあります。国民健康保険法第58条第1項にも「ただし、特別の理由があるときは、その全部又は一部を行わないことができる」というただし書きがあります。実際に出ないケースの類型は 葬祭費が出ないケース——他保険優先・第三者行為・葬祭なしの扱い に整理しました。
⑦ 総額に対してどれくらい効くか
葬祭費は30,000〜70,000円です。金額としては小さく見えますが、直葬・火葬式のように総額を抑えた形式では効き方が大きいという特徴があります。
たとえば直葬の実質負担は、プラン費用と火葬料を足して葬祭費を引くとおおむね13万〜17万円になります(→ 直葬・火葬式の実額——公営火葬場を使うと総額いくらか)。この帯では、30,000〜70,000円は総額の2〜4割に相当します。一方で一般葬のように総額が100万円を超える形式なら、影響は数%です。
「申請しなくても大した額ではない」と考えるかどうかは、選んだ形式によって答えが変わります。地域別の総額の積み上げは 東京23区で親を送る——瑞江葬儀所・臨海斎場の公式料金と葬祭費7万円で総額検算・横浜市で親を送る——市営4斎場12,000円と葬祭費5万円で総額検算・大阪市で親を送る——市立5斎場10,000円と葬祭費5万円で総額検算・名古屋市で親を送る——火葬料5,000円(八事斎場休止中)と葬祭費5万円・札幌市の火葬料「市民無料」は2026年3月で終了した——改定後16,000円と葬祭費3万円・福岡市で親を送る——刻の森20,000円と葬祭費3万円で総額検算 にまとめています。
よくある質問(FAQ)
Q1. 自分の市区町村の葬祭費はどうやって調べますか? 故人が入っていた保険で調べ先が変わります。国民健康保険なら「市区町村名+葬祭費」、後期高齢者医療なら「都道府県名+後期高齢者医療広域連合+葬祭費」で公式ページを確認してください。根拠は国民健康保険法第58条第1項(市町村の条例)と高齢者の医療の確保に関する法律第86条第1項(広域連合の条例)です(2026-08-17確認)。
Q2. 国民健康保険と後期高齢者医療で金額が違うことはありますか? あります。上の6都市では両制度が同額でしたが、これは決め方が同じだからではなく、たまたま一致しているだけです。決めている条例の主体が違う(市区町村 vs 都道府県単位の広域連合)ので、原理的にはずれ得ます。東京23区の後期高齢者医療のように、区独自の加算で差がつく例もあります。
Q3. 直葬(火葬のみ)でも葬祭費は出ますか? 自治体によって書き方が異なります。福岡県後期高齢者医療広域連合は「葬祭を行った方(主に喪主、葬儀をしない場合は火葬を行った方等)」と明記しており、神奈川県後期高齢者医療広域連合は「埋葬又は火葬を行った場合は、『埋葬』のみ又は『火葬』のみでも支給対象」としています(いずれも2026-08-16確認)。一方で明記していない自治体もあるため、故人の住所地の窓口で確認するのが確実です。
Q4. きょうだいで分けることはできますか? 支給されるのは「葬祭を行った方」1人です。窓口では葬儀社の領収書の宛名で確認されるのが通常で、複数人に分割して支給する運用は確認できませんでした。受け取った後の家族間の精算は、制度の外の話になります。
Q5. 生活保護を受けていた親の場合はどうなりますか? 生活保護には葬祭扶助という別の制度があり、国民健康保険の葬祭費とは根拠も窓口も異なります。本記事では扱っていません(当サイトで確認・整理できていない領域です)。故人の住所地の福祉事務所にご確認ください。
※金額・要件は改定されます。本記事の金額は2026年8月16日、条文は2026年8月17日時点で各公式ページ・e-Gov法令検索から確認したものです。東京23区の金額は新宿区の例であり、他区は各区の公式ページで確認してください。最終的な支給の可否は、故人の住所地の窓口・保険者の判断によります。
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出典
- 国民健康保険法(昭和33年法律第192号)e-Gov法令検索 (2026-08-17 取得) 第58条第1項(市町村及び組合は、被保険者の出産及び死亡に関しては、条例又は規約の定めるところにより、…葬祭費の支給若しくは葬祭の給付を行うものとする。ただし、特別の理由があるときは、その全部又は一部を行わないことができる)
- 高齢者の医療の確保に関する法律(昭和57年法律第80号)e-Gov法令検索 (2026-08-17 取得) 第86条第1項(後期高齢者医療広域連合は、被保険者の死亡に関しては、条例の定めるところにより、葬祭費の支給又は葬祭の給付を行うものとする)
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- 愛知県後期高齢者医療広域連合 葬祭費 (2026-08-16 取得) 「葬祭を行った方に葬祭費として5万円を支給します」
- 札幌市 死亡したとき(葬祭費) (2026-08-16 取得) 支給額 30,000円
- 札幌市 後期高齢者医療葬祭費申請 (2026-08-16 取得) 「支給額は30,000円です」。北海道後期高齢者医療広域連合(申請は札幌市の窓口)
- 福岡市 死亡したとき (2026-08-16 取得) 支給額 30,000円。葬祭を行った日の翌日から2年
- 福岡県後期高齢者医療広域連合 給付の内容 (2026-08-16 取得) 「葬祭を行った方(主に喪主、葬儀をしない場合は火葬を行った方等)に3万円が支給されます」
最終更新: 2026-08-17