後期高齢者医療の葬祭費|75歳以上の親を送ったときの実額と決まり方

筆者は本記事で扱うサービスの利用経験・利害関係はありません。本記事は自治体・省庁の公式情報と公開データを整理したものです。

後期高齢者医療の葬祭費:75歳以上の親を送ったときの実額

親が75歳以上だった場合、葬祭費は国民健康保険ではなく後期高齢者医療制度から出ます。金額は市区町村ではなく都道府県単位の広域連合の条例で決まり、当サイトが確認した範囲では30,000円(北海道・福岡県)から50,000円(神奈川県・大阪府・愛知県)まで。東京23区の70,000円は、新宿区の表示によれば広域連合分5万円に区の加算2万円が乗った額です(東京都の広域連合自身は額を公表していません)。

① そもそも親はどちらの制度だったか

まずここを確定させないと、調べる先を間違えます。条文はこうです。

次の各号のいずれかに該当する者は、後期高齢者医療広域連合が行う後期高齢者医療の被保険者とする。 一 後期高齢者医療広域連合の区域内に住所を有する七十五歳以上の者 二 後期高齢者医療広域連合の区域内に住所を有する六十五歳以上七十五歳未満の者であつて、(中略)政令で定める程度の障害の状態にある旨の当該後期高齢者医療広域連合の認定を受けたもの

(高齢者の医療の確保に関する法律第50条・出典:e-Gov法令検索・2026-08-17確認)

つまり、

75歳になると、それまで国民健康保険や健康保険の被扶養者だった人も含めて後期高齢者医療制度に移ります。「ずっと国保だったから国保の葬祭費だろう」は、75歳以上では成り立ちません。

② 金額を決めているのは市区町村ではない

国民健康保険の葬祭費は市区町村の条例で決まるため、同じ県内でも市によって額が違います。後期高齢者医療は違います。

後期高齢者医療広域連合は、被保険者の死亡に関しては、条例の定めるところにより、葬祭費の支給又は葬祭の給付を行うものとする。

(高齢者の医療の確保に関する法律第86条第1項・出典:e-Gov法令検索・2026-08-17確認)

そして広域連合の単位は条文で決まっています。

市町村は、後期高齢者医療の事務(中略)を処理するため、都道府県の区域ごとに当該区域内のすべての市町村が加入する広域連合(以下「後期高齢者医療広域連合」という。)を設けるものとする。

(同法第48条・出典:e-Gov法令検索・2026-08-17確認)

**だから後期高齢者医療の葬祭費は、保険者である広域連合の単位=都道府県ごとに決まります。まず見るべきは市の名前ではなく、「◯◯県後期高齢者医療広域連合 葬祭費」**です。

ただし**「同じ県内ならどの市でも同額」と言い切ることはできません**。本記事の④で見るとおり、東京23区では区が独自の加算を上乗せしており、市区町村が上乗せする可能性が残るからです。当サイトが各市の公式ページで実額を確認できたのは下表の6都市だけなので、それ以外の市町村については、必ず故人が住んでいた市区町村のページで確認してください。

③ 6都市(5広域連合+東京都)の実額

都市保険者(広域連合)実額確認できた原典
東京23区(新宿区の例)東京都後期高齢者医療広域連合70,000円新宿区(広域連合5万円+区加算2万円)
横浜市神奈川県後期高齢者医療広域連合50,000円広域連合の公式ページ
大阪市大阪府後期高齢者医療広域連合50,000円広域連合の公式ページ
名古屋市愛知県後期高齢者医療広域連合50,000円広域連合の公式ページ
札幌市北海道後期高齢者医療広域連合30,000円札幌市の手続きページ
福岡市福岡県後期高齢者医療広域連合30,000円広域連合の公式ページ

(自社DB/各公式ページから取得。金額は2026-08-16、神奈川県・大阪府の広域連合ページは2026-08-17に再取得して確認)

**原典の欄をわざと分けて書いています。**神奈川県・大阪府・愛知県・福岡県は広域連合自身が金額を公表しているので、そのまま引用できます。東京23区と札幌市は事情が異なるので、次の2節で説明します。

④ 東京23区の7万円は「広域連合の額」ではない

東京都後期高齢者医療広域連合の公式ページ(葬祭費)を2026-08-17に実際に取得して確認したところ、支給額は書かれていませんでした。書かれているのは次の内容です。

被保険者が亡くなったとき、その葬儀を行った方が、市区町村の担当窓口に申請することで、葬祭費を支給します。 (申請場所)被保険者がお住まいだった区市町村の後期高齢者医療制度の担当窓口 (必要書類)申請に必要なものは、区市町村によって違いがあります。詳しくは被保険者がお住まいだった区市町村の後期高齢者医療制度の担当窓口にお問合せください。

(東京都後期高齢者医療広域連合「葬祭費」・出典:同広域連合公式ページ・2026-08-17確認)

一方、新宿区のページには内訳が明記されています。

後期高齢者医療制度に加入している方が亡くなった際、葬祭を行った方に7万円(後期高齢者医療葬祭費5万円・新宿区加算葬祭費2万円)を支給します。

(新宿区「葬祭費の支給(後期高齢者医療制度)」・出典:同区公式ページ・2026-08-16確認)

読み取れることは2つです。

  1. 新宿区の表示によれば、内訳のうち広域連合分は5万円(広域連合自身は額を公表していないため、当サイトが根拠にできるのは新宿区のこの記載だけです)
  2. 新宿区の7万円は、区が独自に2万円を上乗せした結果。この加算の有無と額は区によって違う

したがって、**「東京23区は7万円」と覚えるのは危険です。**故人が住んでいた区のページで、加算の有無を確認してください。当サイトのデータも新宿区の値を東京23区の代表例として登録しているにすぎません。

⑤ 北海道については、広域連合の原典に到達できていません

正直に書きます。北海道後期高齢者医療広域連合の公式サイトには、今回到達できませんでした(想定したドメインが解決せず、確認を断念)。

そのため札幌市の30,000円は、申請窓口である札幌市の手続き案内ページを根拠にしています。

被保険者が死亡したとき、葬祭を行った方に葬祭費が支給されます。支給額は30,000円です。

(札幌市「後期高齢者医療葬祭費申請」・出典:同市公式ページ・2026-08-16確認)

窓口である市の公表なので信頼度は高いものの、保険者(広域連合)自身の公表ではありません。北海道内の他市町村にお住まいだった場合は、その市町村の窓口で確認してください。

⑥ 申請先は「広域連合」ではなく「市区町村の窓口」

金額を決めているのは広域連合ですが、申請する場所は市区町村です。ここも混乱しやすい点です。

  • 愛知県後期高齢者医療広域連合:「申請場所 お住まいの市区町村の後期高齢者医療担当窓口」(2026-08-16確認)
  • 東京都後期高齢者医療広域連合:「被保険者がお住まいだった区市町村の後期高齢者医療制度の担当窓口」(2026-08-17確認)
  • 大阪市:「亡くなられた方がお住まいだった区の区役所保険年金業務担当(保険)に申請をお願いします」(2026-08-16確認)

そして**「お住まいだった」=故人の住所地**です。申請者本人の住所地ではありません。必要書類・時効・郵送可否は 葬祭費の申請期限は2年——時効で消える給付金の申請手順 にまとめました。

⑦ 葬儀をしなかった場合の扱いは、広域連合によって書き方が違う

直葬(火葬のみ)や、式をまったく行わなかった場合の扱いは、広域連合ごとに公表の仕方が異なります。明記している側の書きぶりを2つ引用します。

福岡県後期高齢者医療広域連合

被保険者がお亡くなりになったときは、葬祭を行った方(主に喪主、葬儀をしない場合は火葬を行った方等)に3万円が支給されます。

(2026-08-16確認)

神奈川県後期高齢者医療広域連合(横浜市のFAQ経由)

神奈川県後期高齢者医療広域連合では、埋葬又は火葬を行った場合は、「埋葬」のみ又は「火葬」のみでも支給対象としています。その場合は、埋葬又は火葬を行ったことがわかる書類として(中略)別途申立書の提出が必要となります。

(2026-08-16確認)

いずれも、式をしなくても支給の道があることを明示しています。ただしこれは福岡県と神奈川県の書きぶりであって、全国共通ではありません。明記のない広域連合では、火葬のみのときの扱いを窓口で確認してください。支給されない類型の整理は 葬祭費が出ないケース——他保険優先・第三者行為・葬祭なしの扱い にあります。

よくある質問(FAQ)

Q1. 親は74歳で亡くなりました。後期高齢者医療ですか? 原則として違います。後期高齢者医療の被保険者は75歳以上、または65歳以上75歳未満で広域連合の障害認定を受けた方です(高齢者の医療の確保に関する法律第50条・2026-08-17確認)。障害認定を受けていなければ、国民健康保険または健康保険の側になります(→ 葬祭費はいくらもらえるか——6都市の実額一覧(3万〜7万円)会社員だった親が亡くなったら——健康保険の埋葬料5万円と退職後3か月ルール)。

Q2. 同じ県内なら、どの市でも同じ金額ですか? 後期高齢者医療の給付そのものは広域連合の条例で決まるため、原則として県内同額です。ただし東京23区の例のように、市区町村が独自に加算している場合があります。故人が住んでいた市区町村のページで加算の有無を確認してください。

Q3. 国民健康保険の葬祭費と、両方もらえますか? もらえません。故人が加入していたのはどちらか一方です。75歳以上なら後期高齢者医療、それ未満なら国民健康保険または健康保険になります。

Q4. 申請の期限はいつまでですか? 後期高齢者医療給付を受ける権利も、法律上は「行使することができる時から二年」で時効になります(高齢者の医療の確保に関する法律第160条第1項・2026-08-17確認)。実務上は各広域連合・自治体が「葬祭を行った日の翌日から2年」と案内しています(→ 葬祭費の申請期限は2年——時効で消える給付金の申請手順)。

Q5. 葬祭費のほかに、後期高齢者医療から戻ってくるお金はありますか? 亡くなった方の医療費について高額療養費などの払い戻しが発生している場合、相続人へ払い戻されることがあります。札幌市は葬祭費の手続き案内の中で「亡くなられた被保険者の医療費について、高額療養費等で払い戻しされる金額が発生した場合は、相続人へ払い戻しされます。申請には、後期高齢者医療支給申請書(申立書)のご提出が必要となります」と案内しています(2026-08-16確認)。葬祭費の申請時に、あわせて窓口で確認してください。


※金額・要件は改定されます。本記事の金額は2026年8月16日(神奈川県・大阪府・東京都の各広域連合ページは8月17日)、条文は2026年8月17日時点で確認したものです。東京23区の金額は新宿区の例であり、区の加算は区ごとに異なります。北海道の金額は広域連合ではなく札幌市の公表を根拠にしています。最終的な可否は故人の住所地の窓口にご確認ください。

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出典

  • 高齢者の医療の確保に関する法律(昭和57年法律第80号)e-Gov法令検索 (2026-08-17 取得) 第48条(都道府県の区域ごとに当該区域内のすべての市町村が加入する広域連合を設けるものとする)・第50条(被保険者=75歳以上/65歳以上75歳未満で一定の障害の認定を受けた者)・第86条第1項(条例の定めるところにより葬祭費の支給)・第160条第1項(2年の時効)
  • 東京都後期高齢者医療広域連合 葬祭費 (2026-08-17 取得) 広域連合自身のページ。「被保険者が亡くなったとき、その葬儀を行った方が、市区町村の担当窓口に申請することで、葬祭費を支給します」。★このページに支給額の記載はなく、必要書類も「区市町村によって違いがあります」と案内している(2026-08-17に実取得して確認)
  • 新宿区 葬祭費の支給(後期高齢者医療制度) (2026-08-16 取得) 「葬祭を行った方に7万円(後期高齢者医療葬祭費5万円・新宿区加算葬祭費2万円)を支給します」「時効は葬儀を行った日の翌日から2年です」
  • 神奈川県後期高齢者医療広域連合 葬祭費 (2026-08-17 取得) 「その葬祭を行った方(喪主)に、申請により葬祭費として5万円が支給されます」「葬祭を行った日の翌日から2年を過ぎると時効となり、申請ができなくなります」
  • 横浜市 後期高齢者医療制度の葬祭費(FAQ) (2026-08-16 取得) 「神奈川県後期高齢者医療広域連合では、埋葬又は火葬を行った場合は、『埋葬』のみ又は『火葬』のみでも支給対象としています」「別途申立書の提出が必要となります」
  • 大阪府後期高齢者医療広域連合 葬祭費 (2026-08-17 取得) 「被保険者の方がお亡くなりになったときは、申請によりその方の葬祭を行った方に対して、葬祭費として50,000円を支給します」
  • 大阪市 後期高齢者医療の葬祭費 (2026-08-16 取得) 支給金額:5万円。申請先は「亡くなられた方がお住まいだった区の区役所保険年金業務担当(保険)」
  • 愛知県後期高齢者医療広域連合 葬祭費 (2026-08-16 取得) 「被保険者がお亡くなりになったときは、葬祭を行った方に葬祭費として5万円を支給します」「申請場所:お住まいの市区町村の後期高齢者医療担当窓口」
  • 札幌市 後期高齢者医療葬祭費申請 (2026-08-16 取得) 「被保険者が死亡したとき、葬祭を行った方に葬祭費が支給されます。支給額は30,000円です」。北海道後期高齢者医療広域連合の給付だが、申請窓口は札幌市の各区役所
  • 福岡県後期高齢者医療広域連合 給付の内容 (2026-08-16 取得) 「被保険者がお亡くなりになったときは、葬祭を行った方(主に喪主、葬儀をしない場合は火葬を行った方等)に3万円が支給されます。ただし、葬祭を行った翌日から2年間を過ぎると申請できません」

最終更新: 2026-08-17